男は久しぶりに会社で有休を申請し、今日は休日となった。
普通は有休を取得すれば、どこかに旅行に行ったり、病院に行ったり、家でまったりと休んで日頃の疲れをとるものだろう。
だが、男ことスィグは違った。
男は今日、冷蔵庫の電源を切り……びっしりとたまった霜を眺めていたのである。
そう、霜とりだ。部屋にある冷蔵庫は霜がたっぷりと溜まってしまう欠点があるので、こうして定期的に霜を排除しなければならないのである。
しかし、霜は意外にも硬くて簡単には取れない。
下手にドライバーのような工具を使うと、冷蔵庫そのものにダメージを与えてしまい、機能しなくなる恐れすらある。
だから男は、ミニ扇風機を冷蔵庫の近くに置き、霜に向かって風を送り続けるのだ。
こうすれば、常温で溶けることを待つよりも速いし、自分自身も近くにいれば冷蔵庫から涼しい風が跳ね返ってくるので1石2鳥というわけである。
とはいっても、霜は元々は水なので……定期的に目を向けては、冷蔵庫の下部に落ちた水を布巾で掃除しなければならない。
合間を縫って書き物をすることこそできるが……やはり集中力は持続しないものである。
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