白米をガツガツ、口の中に流し込む男

ショートショート

男は昨日残った白米を口の中にかき込んでいた。
 白米というモノは、日本人にとってはとにかく馴染みあるものである。白米を大量に口の中にかき込んでから、そしゃくすると、それだけで何とも言えない幸福感を覚える。

 少しごはんですよをつけてから、再びかき込む。海苔の風味が口の中に広がるのを楽しみながら、またそしゃく。
 口の中から海苔の風味が消えたら、次は塩気のある漬物をかじってから、再びご飯を大量にかき込む。そしてまたそしゃく。
 ボリボリと漬物をかじった後の、モキュモキュとした食感は実にたまらない!

 口の中が落ち着いたら、次はみそ汁である。
 男が好きなみそ汁はワカメや海藻が入ったモノだ。インスタント味噌汁だがいい感じにダシが聞いているので、これを一口飲むだけで、再びご飯を口の中に大量にかき込むことができる。


 どんぶり茶碗1杯分のご飯をすっかり平らげた男は、満足そうにため息を付くとぼそりと言った。
「腹ごしらえも済んだし……ひと眠りするか」

 男の体重が80キログラムの大台に乗る、数日前の出来事である。

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