八百万の一員である神々の会話

ショートショート

イスラム教の関係者は、神通力を用いて日本の様子を眺めていた。
 一神教が当然な世界にいる彼にとって、日本という土地はあまりに摩訶不思議な場所である。

 ふむ……ここの国民は正月に仏教徒になり、2月に女性たちがキリスト教徒になり、3月に男性たちがキリスト教徒になり、5月に武士行事をするから仏教か神道に戻り、8月もお盆で仏教神道のまま……10月にハロウィンでキリスト教徒になり、12月も25日までキリスト教で、年末は仏教神道になる。

 小さくため息を付くと、イスラム教の関係者は「忙しい民族だな」と呟いた。これほど多くの宗教の行事をいっぺんに行う民族も珍しいし、大陸端の島国がこうなっているというのだから、イスラム教の関係者も驚かずにはいられない。

 そこに、キリスト教の関係者がテレパシーを飛ばしてきた。
「他人事のように言っている場合ではないぞ。最近では日本にもイスラム教徒は次々と入国している。君の所もそのうち、この行事のなかに組み込まれるかもしれんな」

「多神教の考え方から勉強しなければならんか。最近は情勢も安定せぬし……誰か我を救ってくれる者はいないのだろうか?」

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